でも定額働かせ放題は終わらない。教職調整額を4%から10%に増額か(中教審)

教員には残業代が出ない!?

教員の働き過ぎ、時間外労働の過労死ライン超えなど、教員の労働環境についてのニュースが頻繁に目につくようになった。そのおかげか、教員にはいくら働いても残業代が出ないことは、多くの方が知るようになった。4/12中教審の特別部会が、公立学校教員に残業代の代わりに支給している月額給与の4%相当の「教職調整額」を、10%以上に引き上げる案で調整していることが報道された(読売新聞オンライン)。

給特法は教員に残業代や休日勤務手当を出さないことを規定!労基法違反?

労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)は残業代について、労働者に本来の賃金の25%~50%増しの手当を支払わなければいけないとしている。しかし教員は労基法の適用を受けず、1972(昭和47)年に成立した「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」が適用されている。これがいわゆる「給特法」である。第3条第2項は「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」としている。その後様々な経緯を経て、いわゆるみなし残業代として「教職調整額(給料の4%)が支給されることになった。
これについては文科省HP(教職調整額の経緯等について)に詳しい。

4%は残業8時間分。これが決まった当時の教員の月平均残業時間。

昭和41年度 文部省が実施した「教員勤務状況調査」の結果
<超過勤務時間>1週間平均
 小学校:1時間20分 中学校:2時間30分 平均 1時間48分
文科省の調査では、2022年度に小学校で64.5%、中学校で77.1%の教員の残業時間が上限の月45時間を超えており、教職調整額は現在の勤務実態をまったく反映していない。

でも定額働かせ放題はなくならない!

教職調整額を4%から10%にしても、せいぜい2万円程度の上乗せに過ぎない(都立高校教員の平均給与約36万円(勤続20年)。これで堂々とサービス残業を強いられることには多くの先生方は納得がいかないだろう。
手当を増やすことには何の異論もないが、本当はきちんと残業代を出すべきだし、そもそも本来の教員の仕事とは何かを明確にすることも大事だと思う。