ESAT-J って知っていますか?
都内公立中学校3年生は全員受験
11/26(日)に都立高校など約200会場で、中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J) が行われた。このテストは、英語で話す能力を客観的に評価するテストで昨年度から導入された。都内公立中学校の3年生全員が受験する到達度テストであり、テストの結果は都立高入試にも用いられる。
English Speaking Achievement Test for Junior High School Students
どのように測るの?
テスト方法はタブレット端末を使い、質問に対して音声を吹き込んで解答する形式。テスト自体は100点満点で評価される。さらにその得点を都立高入試用にに4点刻みの20点満点に換算する。具体的には0~100点までの点数を、0,1~34、35~49、50~64、65~79、80~100点と6段階に分け、順番に、0、4、8、12、16、20点と換算する。この換算点を、従来の入試の点数に加えて合否判定をする(65点の生徒と79点の生徒が換算点で同じ16点となる不条理)。
都立高一般選抜では以下のような点数で合否が決まる。
学力検査(筆記試験)を700点に換算、調査書を300点に換算、スピーキングテスト20点
700+300+20=1020点満点
実施するのはベネッセ、来年はブリティッシュ・カウンシル
ベネッセによると、生徒の音声データをフィリピンへ送り、現地スタッフが採点するという。
今年の採点結果は1/11に本人へ通知され、都立高出願時には調査書に記載され志願校へ送られる。1020点のうちの20点ではあるが、されど20点である。中3生は12月には担任との面談も終え、年明けには志望校を確定している。そんな中でスピーキングの点数が知らされるのだが、得点によっては志望校変更を強いられる可能性もある(今年度の一般選抜出願締切は2/6)。
来年度はベネッセに換わり、イギリスの公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルが運営することになる。こんな大事なテストの運営者がコロコロ変わっていいはずがない。
スピーキングテスト未受験者はどうする?
スピーキングテストを受験しなかった者については、「仮のスピーキングテスト結果」を算出し点数化の上加点するそうだ。
→英語学力検査の得点が同じ生徒のスピーキングテスト結果の平均値から、「仮のスピーキングテスト結果」を求める。他人の点数が自分の点数になる!?
何が問題か?
①採点が公平に行われているか?
タブレットに記録された音声データをフィリピンの現地スタッフが採点するのだが、採点の公平性に問題がある。また、後日示される成績は点数とグレード(6段階)だけであり、どこで間違えたとか、採点ミスかもしれないという判断ができない。詳細についての開示請求もできない。
②欠席者や未受験者の扱いが公平か?
試験を受けなかった生徒が都立高に出願する場合、英語の筆記試験の点数からスピーキングの成績を推測する事になるが、これが妥当なのか疑わしい。そもそも筆記試験の成績とスピーキングテストの成績に相関関係があるのだろうか?スピーキングが苦手な生徒はズル休みする方が有利になるテストなんてあり得ない!
③都立高入試に使うことの是非
そもそも都立高校の入試に民間会社が入ることが正しいことなのか?昨年始まったこのテスト、まず申込をするためにベネッセのサイトに入らなくてはいけない。公的な入試に民間企業が関わることや、個人情報を否応なしに提供しなくてはならないことに違和感を持つことは当然だろう。
2年目になるこの制度、テストそのものの問題もあるが、高校入試に利用することの是非が問われている。