教員定数って知っていますか?

教員定数って知っていますか?

文科省は、現在進行中の小学校高学年での教科担任制による教員増完成年度を1年前倒しする方向で調整に入った。現在小学校5、6年の外国語、理科、算数、体育の4教科で、教科担任制の導入が進められており、25年度に完成の予定だった。
このニュースを聞いて「あー良かった、先生が増えると仕事がラクになるね。」と考えるのはちょっと待った!これでもラクにならない!のが今の問題点だろう。

教員の数は誰が決める?

そもそも教員の人数はどうやって決めているのか?「義務標準法」によって決まっている、というのが答え。正式名称「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」
簡単に、かつ大雑把にいうと、小学校の教員数は学級数+α(管理職や養護教諭を除く)と決められており、例えば1学年4学級、全部で24学級規模の学校は教員24名+4名=28名が標準となっている。今回の教科担任制はこの28名にプラス数名を「加配」すること。
中学校では例えば1学年2学級、全部で6学級の場合は、学級数× 1.75=10.5人(この他管理職等)と決められている。ちなみに高校は学級数ではなく生徒数が算定基準となっている。習熟度別学級等を含めると、だいたい学級数×2が標準で、これに養護教諭、実習教員等が配置される。

先生はもともと足りていない

今、小学校や中学校の教員が不足しているというニュースをよく耳にする。特に新規採用1年目で退職、休職する教員がずいぶん増えているようだ。この原因は様々あるだろうが、一つは小中学校では新採1年目で担任を持つことにあると思う。高校教員生活40年の私は2年目で担任に入ったし、40年の中で新採教員が担任を持つという場面に出会ったことがない。言ってみれば1年目は見習い(仮免許)、2年目で一人前ということだろうか。それも教員数がクラス数の2倍いるということがもたらす恩恵である。

少人数教育は夢のまた夢

現在の学級人数は小学校1年が35人、あとは中高も含めて基本的に40人。欧米並みの少人数教育がずいぶん前から求められているが、現状でも足りない教員数。さらに心配なのは右肩下がりの教員採用試験受験者。量を増やしてさらに質を担保することはできるのか?文科省は教員増を要求し、財務省は予算削減を要求。OECDのなかでも下から二番目 というお粗末な日本の教育はどうなる?